休暇 ★★★☆

休暇
2008 ヴィスタサイズ 115分
DVD
原作■吉村昭 脚本■佐向大
撮影■沖村志宏 照明■鳥越正夫
美術■橋本千春 音楽■延近輝之
監督■門井肇

■結婚を控えた中年の刑務官は、長期休暇を得るために死刑囚の支え役を志願する・・・

■ある刑務官を主役に、死刑執行に向かう緊迫感と、執行後のささやかな新婚旅行をカットバックしながら、死刑執行が刑務官に及ぼす心理的影響を正面から描いた極めて珍しい映画。刑務官のストレスに感情移入することで、死刑制度の残酷さを疑似体験させるという構成の力作。正直観ていて辛いが、これも現実の一端なのだ。

■主演が小林薫では立派過ぎるので、もっと地味なくたびれた中年男でないとリアリティに欠けるのだが、相方の大塚寧々ははまり役。西島秀俊が死刑囚を演じるが、どんな犯罪を犯したのか、何を考えているのか一切不明なまま(ただし、幽霊が現われるので老夫婦?を殺害したらしいことがわかる)という役柄。妹との面会でもお互いに一切会話がないという徹底ぶり。当然刑務官は犯罪の内容を知っているはずだが、映画では観客には明かされない。ただ死刑が宣告された人間であるという属性とスケッチが好きという属性を明かすだけだ。死刑制度が死刑を執行する側の人間に何を強いるかという視点にテーマを凝集するための措置なのだろう。西島君はいつものようにつかみ所のない、しかしなにやら不思議な色香をまとった謎の人物を淡々と演じる。刑場に曳かれる場面はキリストの磔刑をイメージしたものだろうか。

■製作は山梨日日新聞山梨放送、リトルバード、制作はリトルバード。

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