スラムドッグ$ミリオネア ★★★

SLUMDOG MILLIONAIRE
2009 スコープサイズ 120分
イオンシネマ久御山

スラムドッグ$ミリオネア [DVD]
■正直、ちょっと高く評価されすぎではないか。結局は元気はいいが荒削りな発展途上国の映画たちのパロディといったつくりで、それ以上の狙いは持っていないようだ。
■冒頭のインドのスラムの描写はさすがに想像を絶するものがあるし、スラムの孤児たちを組織するマフィアの残酷さ(このあたりは事実に基づくらしい)も非常にえげつないが、その残酷さとえげつなさは、昔の東映映画を思わせるもので、物語(活劇)を活気づかせるための方便といったものだ。ダニー・ボイルの映画を観るのは実は初めてだが、このイギリス人監督はもっと捻った作風を基本としていたはずで、その意味で本作は非常に商業主義的に作った映画とも言えるだろう。
■まるでシャマラン映画のような運命論というのも、インドの精神に倣ったということよりも、インド映画風を倣ったという印象で、シャマラン映画のような他を寄せ付けない深い信念は感じられない。ラストのダンスシーンは、ミュージカル的な躍動感というよりも、あくまでおまけ風の仕上がりだが、いっそのこと全編をミュージカルに仕上げたほうが、楽しい映画になったのではと夢想させる。アカデミー賞の厚待遇は明らかに政治的な事象である。

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