水爆と深海の怪物 ★★★

水爆と深海の怪物 [Blu-ray]

水爆と深海の怪物 [Blu-ray]

  • 発売日: 2011/10/05
  • メディア: Blu-ray

IT CAME FROM BENEATH THE SEA
1955 ヴィスタサイズ 78分
DVD

■新型原子力潜水艦が航行中に放射線を帯びた何ものかに襲撃され、命からがら脱出するという冒頭のサスペンスからして、意外にも正統派の怪獣映画で、真面目な理屈とアメリカン・テイストのお気楽なラブロマンスを綯い交ぜにしたハリウッドスタイルの怪獣映画の典型だろう。
■女性科学者と潜水艦の艦長の恋愛劇も怪獣映画には似合わぬハリウッド調ロマンスで、その中で女性の社会進出を戯画化しているあたりは、案外したたかな脚本だ。ラストも、”新種の生き物”は巨大な蛸だけではなく、科学者でありながら物怖じもせずアメリカ軍を動かして怪物の迎撃まで指揮する肝の座った女傑としての女性科学者であるという結論は洒落がきいている。平成ガメラ長峰中山忍)の祖先は既に40年前にアメリカに存在したのだ。
レイ・ハリーハウゼンの名人芸によるクライマックスの金門橋襲撃場面は、サスペンスも利いてなかなかの名場面。ただ、その後の原子力潜水艦との一騎打ちは、コマ撮りアニメの限界がそのまま露出しており、さすがに苦しい。ここはミニチュア撮影と大蛸のコマ撮りを合成して仕上げるべきだが、予算的に大規模なステージ撮影が不可能だったのだろう。全体的にモデルアニメのシーンは短いし、小規模作品であることは隠しようが無い。逆に、姿をあまり見せずに間接描写で怪物の接近を描くことでサスペンスが生まれているから、映画的には成功の部類だろう。
フィリピン海溝に生息する巨大蛸が水爆実験の影響で放射能を帯び、魚が捕食できなくなったので日本近海で漁船を襲ったりしながらアメリカ西海岸に接近してくるという筋立てなので、「サンダ対ガイラ」の大蛸などは、まさに親族なのだ。

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