解脱衣楓累 ★★★☆

解脱衣楓累(げだつのきぬもみじがさね)
NHK BS2 ミッドナイトステージ館
2008 前進座 
原作■鶴屋南北 改訂■小池章太郎 演出■中橋耕史 音楽■杵屋佐之忠
出演■嵐圭史河原崎國太郎藤川矢之輔瀬川菊之丞嵐広也、津田恵一
前進座が発掘上演した南北の累(かさね)もの。複雑怪奇な因果の糸を怪奇趣味とシニカルな笑いで綴った見ごたえある演目だ。煩悩の虜となった破戒僧を演じる嵐圭史が、勝新太郎に見えてくるのは、三隅研次の「鬼の棲む館」の見すぎだろうか。
■終幕の怪談劇はグロテスクさが常に笑いと重なり合うという、日本の古典演劇の定番演出だが、こうした嗜好は怪談劇が映画に移植されると、薄まってしまい、映画では怪談は陰気な因果応報に集約されてしまうのだが、演劇の場では、怪奇と黒い笑いは生き生きと混交している。
■最後は、本水を使った殺し合いの場面になるのだが、テレビでは照明の加減であまり雨が際立たず、十分な効果が出ていなかったのは、残念。劇場ではもっと雰囲気が出たのだろうか。

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