デスカッパ ★★

DEATH KAPPA
2010 ヴィスタサイズ 85分
DVD
ストーリー原案■原口智生 脚本■右田昌万
撮影■高橋義仁 照明■小笠原篤志
美術■杉山公秋 特撮美術■高橋勲
音楽監修■石井雅子 操演■村石義徳 視覚効果■早川哲司
監督、特技監督原口智生

■米国資本で、制作は日活撮影所が請け負い、低予算のゲテモノ映画をアメリカのマニア向けに提供するTOKYOSHOCKシリーズが無理やり怪獣映画を原田智生に発注した異色作。というか、不思議映画。米国資本とはいえ、製作規模は?シネマクラスで、もともと怪獣映画ではなく、怪獣映画ゴッコを目指した企画なので、敢えて脱力系の脚本と演出をヘラヘラ笑いながら楽しむのがお約束。

■集まったスタッフは特撮映画や特撮テレビのベテラン技術者たちだが、あれですよ、石井輝男の「地獄」くらいの質感なので、映像の質感はまるで8ミリ映画のよう。それでも、デスカッパとハンギョラスの大怪獣決戦をウルトラファイト流にプロレス中継風にみせる趣向はなかなか傑作ですよ。怪獣が暴れるたびにミニチュア街の随所でフラッシュ球がバシバシと発光する中野特撮風の特殊効果は非常に気持ちがよろしい。

■ヒロインの平田弥里が帰郷する導入場面は「怪談呪いの霊魂」風のフリークスを登場させ、怪奇映画好きを喜ばせるが、本筋には一切関係ないのも脱力系風味。全体に投げやりなやりっぱなし感が横溢しているが、クライマックスのデスカッパ大暴れで崩壊する東京のシーンは、ボランティアスタッフがCG制作で提供したものだろうか。全体に60年代の非円谷系の低予算テレビ特撮風のテイストなのに、そこだけデジタルテイスト満載ですよ。富士山まで噴火するしね。

■それにしても、もう少しほかのやりようがあったのではないかと、首をかしげる映画である。

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