ヘルボーイ ゴールデン・アーミー ★★★☆

HELLBOY II THE GOLDEN ARMY
2008 ヴィスタサイズ 119分
TOHOシネマズ二条(PS)

ヘルボーイ ゴールデン・アーミー リミテッド・バージョン [DVD]
■正直なところお話自体はあまり大した物語ではなく、特別な捻りがあるわけでもないので、ひとつの完結した映画としては評価できない。が、ヒーロー活劇としては、かなり上出来だ。
■黄金の軍隊を復活させようとする王子の物語はごく簡単に描かれるだけなので、説得力もなにもないし、ありきたりのファンタジー映画という風なのだが、デル・トロの卓越した美術センスのおかげで、随分立派に見えるし、ラストはCGによる黄金の軍隊ではなく、ヘルボーイとヌアダ王子の肉弾戦をしっかりと見せるあたりに、活劇魂の正しさを示す。
■今回はヘルボーイとリズ夫婦の情愛とエイブの初恋(?)を並行して描き、女性観客にも優しく、いい年をした大人の男にも対応した映画作りが目指されているが、中盤の山場である巨大植物の登場の場面は、なかなか感動的に仕上がっている。巨大植物を倒して赤ん坊を救い出しながら人間には化け物と罵倒されるのは、日本ではお馴染みの構図だが、それをきっかけにしてギクシャクしていた夫婦関係が変化してゆくのは上手いし、巨大植物の最期を哀しみを添えて描き出したのは、デル・トロの筋の良さを感じさせる。この場面は、デル・トロ版のビオランテであろう。
■しかし、本作の白眉は新登場のヨハン・クラウス捜査官であろう。まったくガス人間そのもので、土屋嘉男もビックリのガス人間演技を見せるし、台詞に連動して動く口元のギミックがとにかく絶妙。これだけでも観る値打ちがある。

© 1998-2024 まり☆こうじ