ポンペイ ★★★

Pompeii
2014 スコープサイズ 105分
DVD

ポンペイ [DVD]
ローマ帝国に一族を皆殺しにされ奴隷にされたケルト人青年がポンペイの有力者の娘と恋に落ちるが、ベスビオス火山の鳴動は二人の運命を暗雲で閉ざそうとしていた・・・
■ミラジョボの座付き監督に納まってしまったポール・W・S・アンダーソンだが、昔はいいジャンル映画を撮っていたので、基本的に監督としては信用している。本作も配役が小粒で、ローマものにしては巨大なオープンセットは無し、という中途半端なスケール感とはいえ、中盤のコロッセオのアクション場面は大いに燃える秀逸な見せ場で、活劇映画としては成功している。ローマ帝国の横暴と少数民族の反抗というテーマが綺麗に決まっているから、意外にも見応えがあるのだ。
■ところが、その後のキット・ハリントンエミリー・ブラウニングの恋愛活劇の部分が作劇的に冴えず、ラストに到っては失笑を誘う。この映画が評価が低い原因はこの第三幕の不出来によるだろう。火山の大噴火もポンペイの崩壊も当然のことながらCGで、クオリティは低くないが、斬新さも無い。何より、二人の悲恋がまるで悲壮感を呼ばないのがダメで、ポール・W・S・アンダーソンの弱点はメロドラマを理解していない点だと露呈する。エミリー・ブラウニングが単純に不細工なのも困ったものだが。
少数民族の、地方都市の、ローマ帝国への反抗というテーマ立ては失敗していないのに、主人公二人の終幕の作劇が全く杜撰という勿体無いローマ物映画。キーファー・サザーランドの演技も良かったし、台詞も気がきいてて秀逸だったのに、ああ勿体無い。

© 1998-2024 まり☆こうじ