スリ ★★★

スリ

スリ
2000 ヴィスタサイズ 112分
DVD　
脚本■真辺克彦、堤泰之、黒木和雄
撮影■川上皓市　照明■磯崎英範
美術監督■木村威夫　音楽■松村禎三
監督■黒木和雄

■実に「浪人街」以来１０年ぶりの映画だったそうだ。明らかにVシネマ規模の低予算作品で、主人公もアル中の元スリというアウトロー。一緒に暮らす血の繋がらない娘（真野きりな）も保健所で犬の殺処分を担当しながらスリも手伝うという、徹底したアウトロー世界を舞台として設定している。一度はアル中でスリの世界でも生きる場を失いつつあった主人公が必死のカムバックを遂げることができるかどうか、という物語だ。
■主人公を追う老刑事を石橋蓮司が演じて、スリと刑事の緊迫した男のドラマを構築しつつ、家を出た娘の兄が大きく介入してくる。この兄を演じる役者があまり聞いたことの無い川島敦志というひとで、ちょっと配役が弱い。さらに物語の後半は原田芳雄と風吹ジュンのメロドラマがせり出してくるのだが、ここでの風吹ジュンはあまり良くなく、このメロドラマの部分は生きていない。ほかにもすまけい、平田満、香川照之、伊佐山ひろ子といった豪華キャストで脇を固め、音楽は現代音楽の巨匠（？）松村禎三が担当するというのも、Vシネマ規模の作品では異色だ。見ごたえはあるが、それほど優れた作品とも思えないなあ。
■製作はアート・ポート、衛星劇場、制作は松下エージェンシー。