祭りの準備 ★★★☆

祭りの準備
1975 ヴィスタサイズ 117分
BS2録画
企画:多賀祥介 製作:大塚和、三浦波夫 脚本■中島丈博
撮影■鈴木達夫 照明■伴野切
美術■木村威夫、丸山裕司 音楽■松村禎三
監督■黒木和雄

■たしか中島丈博の自伝的脚本と聞いているので、昭和30年代前半、日本の田舎の人間関係はかくもグロテスクであったということに驚愕する、70年代青春映画。山下敦弘の「松ケ根乱射事件」は、90年代後半を舞台としたリメイク的作品だが、そのグロテスクさの具体的様相は通底している。70年代的な熱の入ったキレのいい演技で、台詞も明瞭でテンポも速く、退屈する暇も無い、ある意味ジェットコースター映画である。黒木和雄岩波映画出身の監督だが、日本映画の伝統的劇映画の作法に非常に忠実である。

■父親ハナ肇、祖父浜村純のふたりともが調子の外れた女関係を展開し、母親馬渕晴子は息子をひたすら近親相姦的に溺愛する。特に、ヒロポン中毒で脳をやられた隣家の娘(桂木梨江)に激しく恋慕する浜村純の姿は、滑稽だが鬼気迫るものがある。おまけに、こどもを出産するとなぜか頭が復調してしまうという皮肉な展開のために自殺に追い込まれるという、本作のなかで最もおいしい役だ。実際、暴走する浜村純の大活躍は痛快といえる。

■ただ、この映画のラストは、どうしても続編を予想させるものなので、今見ると少し調子が狂う。続編がないと映画が完結しないのだ。

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