基本情報
Breakthrough ★★★
1950 スタンダードサイズ 91分 @DVD
感想
■1944年、米軍の英国駐屯地からノルマンディー上陸作戦に参加するある小隊の活躍を、記録フィルムを巧みに使いながら描いた戦記映画の小品佳作。
■中隊長と士官学校上がりの新任小隊長の確執を描きながら、最終的に中隊長は前線から外され、成長した小隊長が昇任してその後を継ぐまでをキビキビと描く、なかなかの快作で、教科書通りに冒頭のエピソードと終幕のエピソードが対置され、小隊長の成長が描かれる。山のように同じ構図の映画があるはずだが、例えばイーストウッドの『ルーキー』なんて、全く同じ構成。
■秀逸なのは、小隊のメンバーたちのエピソードが粒立っているところで、どこかで拾った野良犬を可愛がっていて、輸送船で子犬をたくさん産んで家族が増えたと喜ぶけど、上陸作戦中にドイツ軍の攻撃で撃沈され、泣き崩れる兵士のエピソードなど、どこの人が観ても、胸に響くだろうし、筋肉バカの兵士がいて、フランス女性が散々誘惑するのに、全くなびかないエピソードとか、各エピソードのニュアンスが、例えば『戦場』と比べても分かりやすく、感情移入しやす。
■ドイツ軍が生け垣の中に潜んで攻撃してくるので苦戦するあたりとか、開放したフランスの村の尖塔からフランス娘のスナイパーが銃撃してくるあたりサスペンスやリアリティなども、小気味よくキビキビ描かれる。活劇映画としてはオーソドックスによくできている。監督はルイス・セイラーという人。
■ノルマンディー上陸作戦やドイツ軍との戦闘などに結構大量の実写フォルムを挿入して、比較的スムーズに繋がっているのも見どころで、なにしろ映像素材が大量にあるので、良いカットだけうまくつなぎ込んでいる。
■中隊長が兵たちの出身や家族関係などの背景については知ろうとするなと小隊長に説諭するあたりがリアルな見どころで、兵たちは死んでゆくものなので、その死にいちいち引きずられていては、軍隊の指揮はできないということを言いたいのだけど、それは自分自身の経験によるとことで、強面の権威主義者にみえるけど、実は兵の死にひと一倍ダメージを受ける心の弱い人間であることが明かされる。ゆえに、上官から最前線を外されるのだけど。このあたりのリアルな人間味が、配役とか演技とか演出の制約はあるものの、非常に誠実に描かれていて、本作の美点だと思う。意外に良かったので感心しました。
