69 sixty nine ★★☆

69 sixty nine
2004 ヴィスタサイズ 113分
DVD
原作■村上龍 脚本■宮藤官九郎
撮影■柴崎幸三 照明■上田なりゆき
美術■種田陽平 音楽■中シゲヲ
監督■李相日

■1969年に佐世保の高校でバリ封や学生フェスティバルを強行した高校生たちの姿をコミカルに描いた青春映画だが、宮藤官九郎の悪い面ばかりが目立つ失敗作だ。

■当時大学生だった人が見ても怒るだろうし、当時の高校生が見ても納得できないのではないか。もっと真面目にやれと激怒するだろう。

■いや、コミカルだからダメというのではなく、青春映画として筋が通っていないから怒るのだ。バカ騒ぎの連鎖で終始し、それ以上の青春時代の痛みや喪失感が全く蔑ろにされているからだ。

■いちばんの儲け役はバリケード封鎖中の校長室で大便を垂れ流す、”指紋の無い男”こと星野源で、「未来講師めぐる」のえろびでお先生のあの男である。いっぽうで彼ら高校生を威圧しようとする体育教師役の嶋田久作の熱演も印象的なのだが、何しろ教師側の理念など全く描こうとはしないから、高校での騒動がまるでファンタジーのように見えてしまうのだ。扱いようによってはいくらでも面白くできる素材なのに、実に筋が悪い。

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