野望の系列 ★★★☆

ADVISE AND CONSENT
1961 スコープサイズ 135分
BS2録画

■大統領命令で国務長官の推薦を担当する上院で展開する政界工作の蠢きをハードなタッチで綴る社会派映画。途中まで誰が主役なのか掴みかねて若干混乱するのだが、結局群像劇と考えて観るのが正解のようだ。ヘンリー・フォンダ国務長官候補者として登場するものだから、主役になるのかと思いきや、あくまで脇役。政界の大物を堂々と演じるチャールズ・ロートンの曲者ぶりが圧巻。
■ラストの収拾の仕方が素晴らしく、民主主義の理念の下部構造として実在するどす黒い政界工作の全てを押し流すような決着の付け方は、リアルで説得力を持つ。そしてその虚しさに戦慄する。
国務長官の適任かどうかを審議する委員会の委員長を任せられた若手議員が何ものに脅迫され、しかもその秘密というのが戦時中ハワイに駐在時代の男友達に出した手紙というのが、映画の制作年代を考慮すると凄い。政治の裏面、議会の外でどれほど多くの合法非合法の活動が行われ、血すら流され、時としてその意義が政治の表面上には全く現われずに終わることがあるという事実を非情なタッチで綴る異色作である。

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