大日本人
2007 ヴィスタサイズ 113分
DVD
脚本■松本人志、高須光聖
撮影■山本英夫 照明■小野晃
美術■林田裕至 音楽■テイ・トウワ
VFX監督■瀬下寛之
監督■松本人志
■久しぶりにサイテー映画を観た。確信犯フェイクドキュメンタリー風のタッチで和風ヒーローの悲哀を綴りながら、随所にCGによる巨大戦を派手な見せ場として設定した手口の映画的戦略性には鋭いところがあり、そのまま確かな決着を付けてくれれば、★★★くらいには到達したのだが、最後のスーパー・ジャスティスはあまりにも観客に失礼だろう。
■生活者としての巨大ヒーローという存在をここまでリアルに丹念に描きこんだ映画はこれまで無かったので、その意味では画期的であることは事実だ。登場するグロテスクな巨大怪獣(現円谷プロ副社長岡部淳也が監督した悪趣味特撮映画「D」を髣髴させる)を、こだわりを込めて”怪獣”ではなく”獣”と呼ぶ様にも、なかなか通な視線が感じられて、徐々に好感触を引き出すのに、最後の最後にお馴染みのテレビ用コントに集約するのは、全く意味不明である。特に松本人志に好感も興味も持たないわれわれのような観客にとっては、ただ単に迷惑な話だ。映画館で観なくてよかったと心底思ったぞ。1800円払ってこんな映画を見せられたら、いくら気の長い私でも怒るぞ。
■大日本人のデザインやキャラクター設定(特に四代目が秀逸)にはセンスが感じられ、CGも質量共によく頑張っている。CGならではの、獣の質感の気色悪さは強烈だ。
■松本人志は役者としては全くいいところが無い芸人で、そのスクリーン中での居心地の悪さもある意味では見ものだろう。大日本人をプロモートして荒稼ぎするマネージャー役のUAが妙に巧いので笑う。