リアル 完全なる首長竜の日 ★★★

リアル 完全なる首長竜の日
2013 ヴィスタサイズ 127分
品川プリンスシネマ
原作■乾緑郎 脚本■黒沢清田中幸子
撮影■芦澤明子 照明■永田英則
美術■清水剛 音楽■羽岡佳 VFXスーパーバイザー■浅野秀二
監督■黒沢清

■自殺未遂で寝たきりの彼女の意識に「センシング」という超科学装置で入り込んだ主人公は、彼女の意識を呼び覚まそうとするが、彼女の心的世界は崩壊の一途を辿る。「首長竜の絵」という言葉を頼りに二人の故郷の島を訪れるが・・・
■正直なところ、後半の謎解きやお話自体はあまり褒められたものではないが、それは原作小説を大幅に改変したためらしい。確かにこの映画どおりのお話なら、小説が賞をとれるはずがないだろう。
■しかし、綾瀬はるかの意識内に佐藤健が入り込む前半部分の演出は黒沢清ならではの怪異描写が冴え渡り、主演二人の好演もあって、非常に素晴らしいものだ。黒沢清は恐怖映画の巨匠であるが、一方で家族や夫婦の危うい関係を独特の絶妙なタッチで、淡々と残酷に描くことに長けているのだが、本作でもその資質は前半部分に特によく表れている。(続く)

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