山のあなた 徳市の恋 ★★☆

山のあなた 徳市の恋
2008 ヴィスタサイズ 94分
TOHOシネマズ二条(SC7)
脚本■清水宏
撮影■町田博 照明■木村太朗
美術■都築雄二 作曲■中川俊郎
VFXプロデューサー■石井教雄 ミニチュア製作■マーブリング・ファイン・アーツ
脚色、編集、監督■石井克人

■正直なところ、映画の後半は半分寝てましたよ。前半のコミカルな場面は、擬古的な演出で一定のおもしろを感じさせるし、なによりも温泉宿のステージ撮影が絶品で、温泉でほっこりしながら、按摩さんに揉み解してほしい気になる。町田博の撮影が絶妙なのだが、この日本映画らしい淡彩な色調と柔らかい光線の具合は、DVDでは正確に再現できないだろうから、劇場で観る値打ちがある。

清水宏のオリジナルにあまり手を加えていないようで、物語としては後半が弱い。特に堤真一が出てくると、途端に退屈になるのはどうしたことか。というか、個人的にこの人には全く魅力を感じないのだな。その割りに売れっ子なのでよく出てくるので困る。問題作「クライマーズ・ハイ」もこの御仁が主演では、期待値も下がるわけで。

■ただ、技術的に観ればいろいろと興味深く、特に温泉宿のフルショットをミニチュアで制作し、役者たちの演技をデジタル合成で嵌め込んでいるところなど、要注目だ。これは観ているときから、明らかに画調が変化しており、いかにもデジタル処理したような色の濁りや陰影の変化が見受けられたのだが、てっきりマット画合成と思っていた。正直なところ、撮りきりのショットが素晴らしく瑞々しいので、デジタル処理で画調が乱れるのが勿体無いのだが、方法論としてはひとつの選択だろう。ハリウッドならミニチュアではなくCGで作ってしまうだろうが、今回そこまでやるには製作費が足りなかったのだろう。なのしろVFXはオムニバス・ジャパンなので、CGは本来得意なはずなのだ。

■しかし、一言で言えば、酔狂な映画というべきだろう。

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