成功の甘き香り ★★★☆

成功の甘き香り [DVD]

成功の甘き香り [DVD]

SWEET SMELL OF SUCCESS
1957 ヴィスタサイズ 96分
BS2録画


 ブロードウェイに絶大な影響力を持つコラムニスト(バート・ランカスター)は、妹とジャズピアニストとの交際を引き裂くために、彼にコバンザメのように付きまとうエージェント(トニー・カーティス)に手を打つよう指示するが・・・
 結局は、バートランカスターのその妹に対する異様な執着がテーマになるはずだが、そこに直接踏み込むのではなく、彼を利用して、彼に取り入って出世しようと小さな成功を夢見る青年の視点から、虚飾に満ちたショウビズ報道の舞台裏と綯い交ぜにして描き出すところが捻くれた異色作だ。
 なのしろ日本人にはわかりにくいのが、妙に巨大な権力を持つ”コラムニスト”という存在で、いったいどんなことを毎日新聞に書いているのか、そこのところが遂に説明されずじまいなので、なかなかすんなりとは腑に落ちないところがある。
 バート・ランカスターが大物感溢れるインテリを堂々と演じているのが意外であり、一方の目先の成功に目がくらんで、バート・ランカスターのご機嫌を伺ったり、裏でこそこそ画策したりする卑劣な小悪人を演じるトニー・カーティスの、野心が目の下に妙な黒ずみを作っているメイク及び演技の質が妙にリアルで、唾棄すべき、しかし妙に身につまされるところのある、つまり普遍性のある人物像、若者像を力演している。
 allcinema onlineの梗概には、「からくりを知った妹は彼らをののしって、身投げしてしまう。」とあるが、これは間違いなので要注意。いいかげんだなあ。

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