Gガール 破壊的な彼女 ★★★

MY SUPER EX-GIRLFRIEND
2007 スコープサイズ 93分
TOHOシネマズ二条(P-SC)


 もてないサラリーマン(ルーク・ウィルソン)が地下鉄で声をかけた地味な女(ユマ・サーマン)は、見かけによらず積極的なアプローチでステディな関係になってしまうが、実は彼女こそNYをあらゆる危機から救っていたスーパーヒロイン、Gガールだった。あまりに過激な性癖に辟易した彼は同僚の娘に心変わりするが・・・

 美貌のスーパーヒロインと恋愛どころかベッドまで共にするというコスプレ好きのヲタクの妄想を完全実写映画化した、非常に間口の狭い娯楽映画だが、良心的なたいやき屋もかくやという、頭から尻尾まで餡子ならぬ、巻頭からエピローグまでセックスネタという、とことんお下品なコメディっである。

 監督のアイヴァン・ライトマンには「デーヴ」という洗練されたコメディ映画の傑作があるのだが、今回はターゲットとなる、頭の中がセックスの妄想に支配されている観客層に合わせて、あくまで露骨なエロネタを、しかし直接的に露骨な表現を用いずに描いた、その意味ではやはり洗練された娯楽映画といえるのだろう。

 何しろ肉感的な雰囲気が薄く、人間離れした風貌が売り物のユマ・サーマンが一見オクテのようで実はセックスに貪欲なスーパーヒロインという、ヲタクにとって夢のような役柄を完璧に演じてくれるので、その可愛らしさに圧倒される。普段のひっつめ髪と眼鏡姿の地味なOL風のユマから、ブロンドの巻き毛もゴージャスな超現実的なコスチュームに変身するのだから、「プロデューサーズ」に続きユマ・サーマンのファンにとっては願っても無いご馳走で、彼女の変人ぶりと嫉妬に駆られて過激な嫌がらせに出る後半は大いに笑わされる。その嫌がらせが巨大な鮫を部屋に放り込んだり、目から光線を出して彼の額に”DICK”と焼き込んだりという意味不明な子供じみた悪戯っぽいのが、ご愛嬌。というか、いかにも知的なキャラクターのユマが演じるからそのギャップが笑いと愛嬌に転じるわけだ。

 ただ、物語の決着のつけ方としては少々凡庸で、終盤の展開は失速気味だと思うので、星は精々3つが限度だ。


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