幸せのちから ★★☆

THE PURSUIT OF HAPPYNESS
2007 スコープサイズ 117分
ユナイテッドシネマ大津(SC3)


 骨密度計測器のセールスマンの主人公は金欠のため妻に逃げられ、息子と二人で家を追い出されモーテル住まいに。藁をも掴む思いで証券会社の採用試験に挑み採用されるが、6ヶ月の研修期間は無給だった。税金を口座から強制的に徴収され、モーテルも追い出された二人は地下鉄のトイレで夜を明かすことに・・・

 実話に基づいた感動作という触れ込みで、実話のリアリティを確保するために、街頭ロケ主体の撮影スタイルで、異民族混交の町の息吹を積極的に押し出す戦略は成功していると思うし、ルービック・キューブを小道具に使った物語の転がし方や、合衆国憲法に規定された”幸福の追求”(原題)を持ち出した作劇も悪くは無いのだが、この映画のラストには到底納得も感心もできるものではない。

 ひとり息子を抱えて、食うや食わずで必死に幸福を追求した結果、成功者になりました、めでたしめでたし、というあまりにも単純な決着は、マネーゲームとそれによって財を成した人間や社会機構の胡散臭さが明るみになった日本では、誰も純粋に感動することなどできないだろう。彼のセールストークの裏側に隠された胡散臭さに言及しないこの映画の後半のまとめ方はあまりに不誠実である。

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