007 カジノ・ロワイヤル ★★★

CASINO ROYALE
2006 スコープサイズ 144分
TOHOシネマズ二条(SC3)


 超現実的な新兵器も漫画的な殺し屋も壮大な秘密基地も登場しない007シリーズの新生を期した最新作。それでも007と言い張るのか?と一言突っ込みも入れたくなろうというものだ。

 前半はいかにも最近の007らしい派手なアクションの見せ場を繰り出すが、むしろ中盤以降のカジノでの心理戦からクライマックスへ連なる部分に、シリーズ新生の意志がよく表現されており、ダニエル・クレイグというほとんど知らない俳優がちゃんとヒーローとして映える演出が成功しているし、お約束のラストの決め台詞も劇的効果としては申し分ない。

 冒頭の建設現場での超絶アクションは相当がVFXの賜物だろうが、追跡される黒人俳優はかなりの超絶アクション部分を生身で演じているようで、このシーンは主役よりも、この男優の体技を堪能させる演出だ。監督はマーティン・キャンベルだが、第二班撮影が「バイオ・ハザード2」を撮ったアレクサンダー・ウィット、編集は「エグゼクティブ・ディシジョン」を撮ったスチュアート・ベアードという鉄壁の布陣。しかも脚本にはポール・ハギスまで参加するという超豪華スタッフが揃い踏みで、船頭多くして・・・にならずに済んだのが不思議なくらいだ。

 確かに間違いなく面白いアクション映画だが、007でなくても成り立つ話ではないかと、どうしても感じずないではいられないのは年寄りの証拠らしい。

© 1998-2024 まり☆こうじ