感想はこちらのエントリーを見てくださいね。
再見しての感想は、やはり子供たちの演出、映像化に全く映画的な躍動感が無いという大欠陥がこの映画のネックとなっているということだ。脚本的にもドラマが構築できていないし、島の浜辺で戯れる主人公の3人組の少年を描き出した1シーンのキャメラワーク、演技の組み立てを見ただけで、演出家の限界が残酷に露見してしまっている。力のある演出家であれば、その映画的演出力のさりげない見せ場となるべきシーンなのに、なぜか妙に素人臭い、異業種監督のデビュー作のようなぎこちなさはどうしたことか。
それに比べると、怪獣たちの演出の表情豊かな表現力は、カメという動物を存在しないことにしてしまった平成ガメラ作者の悪辣さ*1に対する昭和ガメラ路線の異議申し立てとして立派に役割を果たしている。平成ガメラは極めて重要な映画群ではあるが、演出家の姿勢に、生物に対する素朴な興味や愛情が感じられないのだ。それに比べて、本作のガメラ(=トト)の表情、顔の表情だけでなく、首の引っ込め方や、視線の操作、歩き方といった部分の表現力は、本編のドラマを超える感動をもたらす。