レッド・ドラゴン ★★★

RED DRAGON
2006 スコープサイズ 125分
DVD


レッドドラゴン [DVD] 連続して発生する一家惨殺事件。犯人像を絞り込めないFBIは元捜査官グレアム(エドワード・ノートン)に協力を要請する。彼はレクター教授(A・ホプキンス)を追い詰めて逮捕に成功した功労者だった。難航する捜査に手を焼いたグレアムは拘禁中のレクター教授に面会して捜査のヒントを探るが・・・
 このシリーズには特に思い入れも無く、特に前作「ハンニバル」は単なる悪趣味映画だと思うが、本作はレクターシリーズ第1作の原作の映画化。不必要に豪華なオールスター映画だが、ちゃんと全体のバランスが綺麗に整っているのは、さすがにブレット・ラトナー、このわかり易さがこの監督の貴重な美質だ。
 前半で捜査官グレアムとレクター教授の因縁と事件の経緯が語られ、後半は正体を明かしたダラハイト(レイフ・ファインズ)と盲目の女性(エミリー・ワトソン)の奇怪な恋の顛末が並行して語られる。そしてダラハイト邸での大団円、さらにもう一ひねり用意されて、サスペンス映画としては水準を超える出来栄えである。特に、後半のレイフ・ファインズの登場で映画の格がグッと上がり、正直なところ少々高貴すぎる雰囲気もあるのだが、詳しくは語られない幼少期のトラウマが不気味な美しさで凝固したような存在感を醸し出すことに成功している。この役者の奥深い魅力については「ナイロビの蜂」ではじめて認知することができたのだが、ここでも例えばロバート・デ・ニーロなどとは異なる繊細な演技力の質を見せてくれる。
 ブレット・ラトナーは、「X-MEN ファイナル ディシジョン」でも披露した古風な怪奇映画趣味をここでも既に生かしており、ダラハイトを操る二階の”何者か”の存在(もちろん、それは彼の内面でもある)、クライマックスの洋館の崩壊と、怪奇映画好きには応えられない正調怪奇映画の意匠を意図的に再現している。
 また、アクション映画としても相変わらず切れの良いカッティングの小気味よさが大きな魅力となっており、怪奇映画、サイコサスペンス、アクション映画といった娯楽映画の要素を満遍なく消化しながら、それが混濁感ではなく、透明な存在に鮮やかに収斂してゆくところに、ブレット・ラトナーの凄みがある。

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