愛を読む人 ★★★☆

THE READER
2009 ヴィスタサイズ 124分
ユナイテッドシネマ大津(SC7)

愛を読むひと (完全無修正版) 〔初回限定:美麗スリーブケース付〕 [DVD]
■21歳年上の女が15歳の少年を性的に弄ぶというエロ映画が急展開して大真面目な深刻劇に変化するという曲者映画だが、堂々たるメロドラマとして堪能できる。資本はアメリカがメインで、スタッフはイギリス人中心というのは、誰しも首を捻るところだが、アンソニー・ミンゲラシドニー・ポラックコンビの社会派エンターテイメントとして制作されている。まあ、これはドイツ人がドイツ語で制作するよりも、全世界に流通しやすいという映画界の現実に配慮したものと考えて、納得するのが大人というものだろう。
■監督、脚本が「めぐりあう時間たち」のコンビで、撮影がクリス・メンゲスとロジャー・ディーキンスという異様に豪華な布陣で、映像的には映像優先ではなく役者の演技に付き従う姿勢で作られている。ケイト・ウィンスレットは力演で、演出のスティーヴン・ダルドリーがヒロインの心理表現をよく引き出している。が、やはりレイフ・ファインズが上手いので、NYでのレナ・オリン(老けたなあ・・・)との対面シーンでも、受けの芝居で泣かせる。ハリー・ポッターなんて出てる場合ではないと思うのだが。
■ヒロインのある秘密の持つ意味付けについては、もう少し突っ込んで念を押しておく必要があるのではないか。多分、若い観客にはその意味が十分に伝わらないのではないか。そこが伝わらなくては、この映画を作る意義が減衰するだろう。単に異色なメロドラマというわけではないのでね。

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