フランケンフィッシュ ★★★

FRANKENFISH
2004 ヴィスタサイズ 84分
DVD 

フランケンフィッシュ [DVD] 米国南部の沼沢地帯で、男が不審な死を遂げた。調査に向かった検視官と女性学者は沼地のボートハウスに住む風変わりな一団と遭遇し、不審な船で巨大な鱗を発見する。その夜、水上集落を巨大な魚が襲撃する・・・
 「スポーン」のマーク・デッペが監督した所謂低予算のモンスター・パニック映画の一作。いったアメリカでも劇場公開されたのか、ビデオスルーなのかも判然としない低予算映画だが、快作「アナコンダ」を堪能することができたジャンルファンにとってはなかなかツボを抑えた快作。撮影にソニーのシネアルタを使用したデジタルビデオ映画である。
 南部の沼沢地帯という舞台設定があやしげな異郷の雰囲気を醸し出し、ボートハウスに住む変人たちの人物設定のユニークさもよく工夫されているし、定石どおりにひとり、またひとりと怪物に襲撃されて消されてゆくメリハリの効いた演出は、かなりよくできている。今更ながら息を呑むショッカー演出が2、3箇所あり、マーク・デッペという監督、このジャンルの逸材である。
 肝心の巨大魚が遺伝子操作された雷魚というショボい設定は考え物だが、設定の謎解きに凝らず、雰囲気描写とサスペンス、ショッカーの見せ場構成を主眼として80分程度に小気味良くまとめ上げた脚本と監督の割り切りの良さは十分賞賛に値する。
 ボートハウスの住人たちは、おそらく南部でも社会的最底辺の人々であるはずで、ヒッピーの成れの果ての夫婦が全裸生活をしていたり、最初の被害者の戦友(ベトナム?)の男が巨大魚を仕留めて復讐のために心臓を抉り出して炙って食うといった描写には、単にえげつなさを面白がっているというよりも、脚本家の社会的視点が感じられる。

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