新旧日本沈没

 テレビ版「日本沈没」をDVDで久しぶりに観た。
 長野卓監督の傑作「いま、島が沈む」は、川北紘一が、シリーズ立ち上げにあたった先輩特技監督である田渕吉男の不甲斐なさに憤慨して東宝特撮の意地を見せてやると乗り込んだ力作だ。
 実際、田渕吉男のミニチュア演出は相当ガタガタで、シーンをどう構成すればいいのか、ぜんぜんプランができていないように見える。とにかく、ミニチュアでアクションを流して撮っておいて、後でいいところだけを繋げばいいやという感じで、しかも肝心の編集での摘み方が杜撰という、良いとこなしの有様。これなら特撮班助監督の神澤信一に監督をやらせたほうがずっと良かっただろう。
 コスト削減のために日本現代企画のスタジオとスタッフを使って撮影されたらしく、その線で高野宏一も途中参加したのだろうが、ミニチュアワークの出来栄えはテレビ特撮のレベルを超えている。
 樋口真嗣の「日本沈没」も、もう完成したはずだが、どこまでミニチュアを使い、どの程度CGに委ねているのか、気になるところだ。「ローレライ」では海中シーンのCGの質感が良好な割りに、海上シーンのデジタル合成に課題を残していたのだが、NOVAのCMで流れるスポット映像の感じでは、意識的に明るい野外の場面が設定されているようだ。課題は解決されたのだろうか?

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