蟲たちの家 ★★★

楳図かずお恐怖劇場 蟲たちの家
2005 ヴィスタサイズ 51分
レンタルDVD
原作■楳図かずお 脚本■村井さだゆき
撮影■岡 雅一 照明■才木 勝
美術■丸尾知行、嵩村裕司 音楽プロデューサー ■柴田 新
S+VFXプロデューサー ■伊藤太一  S+VFXディレクター ■臼井正則
監督■黒沢 清


 猜疑心の強い夫(西山秀俊)に家に軟禁されていると訴える妻(緒川たまき)、妻が家から出ようとしないと訴える夫、それぞれの思いのすれ違いが、カフカの「虫」のように変態を遂げて現われる・・・
 村井さだゆき独特のパズル形式による物語展開は、観客を選ぶ作風だと思うのだが、ここではかなり巧く機能している。円谷エンターテイメントの製作だが、まるで「恐怖劇場アンバランス」そのものといった風情である。
 低予算ながら、VFXにもかなり気配りがされ、クライマックスでは、これまで円谷プロでも幾度も試みてきた巨大蜘蛛の表現にはじめて成功したと言っても過言ではないだろう。操演で巨大蜘蛛を表現した、土曜ワイドの「巨大蜘蛛の館」(岡村精監督)なども懐かしく思い出す。明らかに円谷側にはその意図があったはずだ。
 家という密室における、夫婦という男女の想いの変容を、恐怖というよりも、不思議さという視点から描き出した映画(ビデオ撮影)で、意外によくできた小品である。
 黒沢清は完成済みの「LOFT」が今年公開されるはずで、来年には現在撮影中の「叫」(?)が東宝系で公開されるはずなのだが、一時に比べると制作ペースが落ちているのが残念だ。せめて年に1作は見せてほしいものだ。



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