悪の階段 ★★★

悪の階段
1965 スタンダードサイズ
BS2録画
原作■南條範夫 脚本■鈴木英夫
撮影■完倉泰一 照明■金子光男
美術■中古 智 音楽■佐藤 勝
監督■鈴木英夫


 金庫破りに成功した男たちは、郊外の不動産屋を買取り、その地下金庫に現金を隠して、ほとぼりが冷めるまで手をつけないことを約束するが、ひとりまたひとりと禁を破って現金に接近するが、互いに殺し合いをはじめて・・・

 南條範夫の「俺の夢は・・・」という小説の映画化だが、実は西村潔も「マドンナの復讐」というタイトルでVシネマを撮っている。同じ原作で、東宝映画の二人の異才の作風の違いを比較できるというわけだ。

 鈴木英夫はフィルムノワールなタッチで、山崎努加東大介西村晃久保明という癖の強い連中を、テレビ映画的にも見えるほどアップを多用して、コントラストの強いモノクロ映像でねちっこく描き出すが、西村版はあくまで軽妙で、軽快な独特の西村タッチが生かされていたはずだ。

 物語自体はたいしたものではないが、謎の悪女を演じる団令子の砂丘でのラストシーンなど、シュールなタッチでルーチンワークを突き抜けようとする演出は悪くない。ふて腐れたような団令子のクールな芝居は、誰しも増村保造を思い出すだろう。

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