女学生の友 ★★★☆

女学生の友 デラックス版 [DVD]

女学生の友 デラックス版 [DVD]

  • 発売日: 2002/03/22
  • メディア: DVD

女学生の友
2001 ヴィスタサイズ 104分
DVD 
原作■柳美里 脚本■加藤正人
撮影■高瀬比呂也 照明■上妻敏厚
美術■都築雄二 音楽■ Pitch Talks
監督■篠原哲雄

■定年退職後、いつになれば死ぬるのかと思いながら無為に暮らす老人(山崎努)は、孫娘を通じて知り合った女子高生(前田亜季)が同級生の妊娠でお金がいることを知ると、一計を案じて美人局をたくらむが・・・

■ハイビジョン制作によるビデオ映画だが、実質的に映画と呼んでもかまわないドラマクオリティ。山崎努の家庭と前田亜季の家庭のそれぞれの特殊事情を提示しながら、50歳の年齢差を越えて信頼感を構築してゆく様を丁寧に描き出す。どの程度原作どおりなのか不明だが、まずは加藤正人の脚本の冴えを賞賛しよう。

山崎努の家庭内での孤立と、前田亜季の家庭内での孤立がよく描かれ、徐々にサスペンスを生んでゆくところが正統派作劇の妙味で、特に奇抜な台詞や文学的な台詞があるわけでもなく、トリッキーな捻りがあるわけでもないが、普通の日常会話で弾みをつけてドラマを前に転がしてゆく術は、映画脚本の好見本といえるだろう。篠原哲雄の演出にも、何も文句がない。「はつ恋」のあの柔らかなタッチがここでも生きている。

山崎努の老人はかっこよすぎるのが多少嫌味に感じる程度で、演技的には完璧。しかし、こんな老人には、普通なれませんよ。孫娘(野村祐香)は裸で風呂に飛び込んでくるわ、前田亜季には「セックスしてもいいよ」なんて言われるわ、完全にハーレム状態。そういう意味ではリアリティは皆無だが、夢物語としては実によくできている。

■青木富夫じいさんが徘徊する池の畔の情景のロケ撮影が素晴らしく、山崎努前田亜季が互いの気持ちを吐露してゆく様が、ある種の幻想味を帯びて描き出される。場面によってフィルム的なルックだったり、ビデオ風だったりと、はっきりと使い分けているのか、偶然の産物なのか、疑問も残った。
■製作はBS−i、東宝

女学生の友 (文春文庫)

女学生の友 (文春文庫)


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