- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2016/04/27
- メディア: DVD
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おなじみお蔦、主税の悲恋を綴ったコテコテの文芸作品。依田義賢の手堅い脚本と三隅研次の硬質な演出が予想外にうまくマッチしており、佳作となっている。
意地を張り通して死んでゆくお蔦の哀れさも案外よく出ており、若尾文子の代役で起用された万里昌代にとっては、代表作といえるだろう。
驚くのは、雷蔵を叱責する場面の千田是也の名演で、映画では演技らしい演技を見せたことの無い新劇の名優が、ここでは極めてリアルな質感の演技を披露しており、圧巻の迫力。
おなじみ湯島の白梅の場面も、大映京都お約束の靄のかかった情景が絶品で、照明効果と、この当時のフィルムの特質が、映画ならではのしっとりとした空気感を表して見ごたえがある。