舞妓と暗殺者 ★★★

舞妓と暗殺者
1963 スコープサイズ 75分
KBS京都
脚本■新藤兼人
撮影■本多省三 照明■古谷賢次
美術■内藤昭 音楽■小杉太一郎
監督■三隅研次

■倒幕運動に身を投じるため長州を脱藩してきた若者が、討幕運動の指導者の不純な動機や運動の欺瞞に気づき幻滅してゆく様を新藤兼人がオリジナル脚本で描いた異色作。なにしろ監督が三隅研次なので、なんと75分という凄いことに。

津川雅彦、高田美和、山本耕一でモノクロ撮影という添え物の低予算映画だが、清水寺へ続く坂道のセットなんて堂々たる作りだし、小川のほとりの夜間撮影など、溝口健二のようなクレーンショットによる長廻しを披露したり、三隅研次としてもかなり意欲的な作品である。

■自分探しのために京へ出てきた若い武士が貧民出身の舞妓を出会って何のための倒幕なのかを悟るという筋立てだが、統幕運動の内情を短く的確に表現したあたりが新藤兼人の本気が感じられる。”運動”なるものが内に抱える問題は共産党でも学生運動でも同じであって、後の新左翼運動の頽廃を予見しているようにも見える。

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