ビー・クール ★★★

BE COOL
2005 スコープサイズ
ユナイテッドシネマ大津(SC2)


 借金の取立て屋から映画プロデューサー、そして音楽プロデューサーにも進出するチリ・パーマー(ジョン・トラボルタ)が、場末の酒場に出演する小娘に目をつけて、大物歌手のコンサートに登場させて、大掛かりにデビューさせるまでの物語に、レコード会社の社長未亡人(ユマ・サーマン)、ラップグループの強面のプロデューサー、ライバル会社の社長(ハーヴェイ・カイテル)一味らの虚虚実実の駆け引きを交えながら描いた軽妙な一作。ハリウッドのショウビズ界が戯画化されているのだが、日本人にはその深い部分は馴染みがないので、豪華キャストの割にはひっそりと公開されてしまった。
 前作「ゲット・ショーティ」は見ていないのだが、それでも十分楽しめる仕上がりで、前作はかなりオフ・ビートなコメディだったようだが、本作は比較的一般向けになっているようだ。
 あっけなく殺されてしまうジェームズ・ウッズの未亡人としてユマ・サーマンが登場し、成熟したお色気を振りまくのは素直に楽しいし、ラッパー一派のセドリック・ジ・エンターテイナーやおとぼけ役のアンドレ・ベンジャミンらをうまく生かしたのは「交渉人」の演出家の腕だろう。本当の主役はセドリック・ジ・エンターテイナーではないかと感じられるほどだ。
 一方で、本格的な音楽映画としての側面も持っているのだが、クライマックスのコンサートの場面など、案外平凡で、音楽映画としての高揚感には乏しい。

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