あこがれ ★★★

あこがれ

あこがれ

  • 内藤洋子
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あこがれ
1966 スコープサイズ
BS2録画

原作■木下恵介 脚本■山田太一
撮影■逢坂 譲 照明■森 充弘
美術■育野重一 音楽■武満 徹
監督■恩地日出夫


 親に捨てられ施設で育った若者(田村亮)は同じ施設で出会った娘(内藤洋子)に再会し心惹かれるが、養父(加藤大介)の反対にあい、二人は自分の気持ちを封印するが、施設の先生(新珠三千代)に諭されて・・・

 内藤洋子の不甲斐ない父親を演じる小沢昭一田村亮の生みの母親を演じる乙羽信子といった完璧な配役が簡単に成立してしまうところが日本映画にまだ余力の残っていた時代の底力で、実際、出演場面は少ないのに存在感だけで観客を納得させてしまう乙羽信子が凄い。内藤洋子の子供時代を演じるのが林寛子というのは、内緒だ。

 物語自体は少々混乱気味で、若者二人のドラマなのか、新珠三千代のドラマなのか、軸足が定まっておらず、木下恵介のテレビドラマの映画化という条件が災いしたようにも思われる。

 一方で内藤洋子は、長玉の流し撮りというアイドル映画定番のキャメラワークで売り出され、青春映画のステロタイプといえる海岸シーンもしっかり盛り込まれているが、結局内藤洋子のドラマではないという脚本の不備が足かせになっている。

 本来なら★二つ半くらいが妥当なところだが、硬派(という印象)の武満徹の甘やかなテーマ曲が耳について離れないので、★三つにしておいた。

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