『わが愛 北海道』


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基本情報

わが愛 北海道 ★★☆
1962/スコープサイズ
(2001/1/30 NFC)
脚本/黒木和雄 台詞/清水邦夫
撮影/清水一彦,渡辺重治 音楽/松村禎三
助監督/東 陽一,小川伸介
監督/黒木和雄

感想(旧HPより転載)

 北海道に赴任した若い役人(関口正幸)が北海道の産業振興のために各地を視察するうちに若い娘(及川久美子)と出逢って結婚を決意するまでの過程を北海道の地域産業を紹介するドキュメンタリー映像とともに渾然一体とした構成で描いた岩波映画製作所の制作によるPR映画だが、今となっては一体どういう観客を想定して制作されたのかすら判然としない。

 上映前に挨拶した黒木和雄監督はアラン・レネの「二十四時間の情事」の影響を受けたが、天才とは比べものにならない」と語り「笑って観てください」と付け加えたが、実際今観ると感想を述べるのにも困るといった程度の青臭い習作としか見えない。北海道各所の記録部分は意図を欠いた平板な記録映像に過ぎないし、北海道の歴史と文化や新興産業の育成と自分自身の恋愛を重ね合わせながら語られる主人公の青年の生硬な独白など今となってはまさに失笑ものである。

 しかし、望遠レンズで捉えた小樽での娘の登場カットを始め所々に昭和37年制作とは思えないくらいに新鮮な美しいカットが挿入され、松村禎三のリリカルな音楽と相まって、不器用ながらも不思議な瑞々しさを保っている箇所があり、何故か忘れがたい映画でもある。

 実際、資料を見るまでは昭和41~2年くらいに制作された映画とばかり思いこんでいたのだが、ロケ撮影の構図やキャメラワークの斬新さがそうした錯覚を惹起したに違いない。黒木和雄監督の言によれば、「残念にも若くして亡くなったが、キャメラマンの清水一彦はまさに天才だった」ということらしい。

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