沖縄は日本のためにある!? 今にして思えば、かなり貴重な映画だった『激動の昭和史 沖縄決戦』(2周目)

激動の昭和史 沖縄決戦 ★★★☆
@NHKBS

■実に20年前に観たブログ記事が残っていたけど、NHKBSのピカピカのリマスター版で再見すると、これはなかなか力作だと感じたなあ。ちょっと印象が変わった。

■帝国陸軍の第32軍が沖縄をいかに守ろうとしたか、守りきれなかったか、軍上層部たちの思惑や動向を中心として描きつつ、下士官、兵、民間人たちがいかに戦い、傷つき、死んでいったかを、オールスターキャストの点描によって描き出すという構想は、作法としてまだ未完成とはいえ、後年の『二百三高地』『大日本帝国』の作劇を先取りしている気はする。

■もともと新藤兼人が書き、でも若いPには不足だったので、当時東宝にいた長坂秀佳が補筆したと言われるけど、多分、民間人エピソードなのだろう。このあたりの分析は、今後必要だと思う。ただ、それらがほんとに点描にとどまっていて、劇的に発展しない点が限界で、笠原和夫はそこを東映ドラマツルギーで突破した。いや、点描の積み重ねでも、その累積の果てに、凄いものがみえてくるという作劇はありうるけど、そこまでは至っていない。

■今回気になったのは、丹波哲郎と仲代達矢の実在する軍人二人の描き方で、作戦会議では激しく対立するのに、私的には戦友で、特に丹波が、異様にデレデレするので、まるでBL風味の描写になっている。旧陸軍では薩摩藩の伝統が生きていて、衆道が珍しくなかったと言われるので、露骨にそのニュアンスを伝えている。これは丹波哲郎のやりすぎというか、監督の仄めかしではないか。

■一方で、寺田農が戦艦大和の吉田少尉として、モノクロ場面で登場し、いろいろとモノローグするのだけど、この場面がかなり良くて、記録映像に、当時の自分の書き記したものや、菊水作戦で死んでいった隊員の遺した遺言を読んでいるのだけど、自分が死んでいくためには、国家や天皇ではない、もっと大きな、何物かが必要なのだと書き残した特攻隊員がいたことに衝撃を受けた。これ石原莞爾もほぼ同じことを考えていて、当時のインテリ層はみんな同じことを思っていたのだなあと、感動した。国家は、大元帥陛下のために死ねと命ずるけど、それでは納得できない、自分の命を賭けるのに、それではまだ足りないと感じる若者が、確実に存在した。そのことを明記した点は、今回見直して一番感心したところだ。
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■なんといっても後年の『日本沈没』『ゴジラ対メカゴジラ』とは兄妹映画で、ほとんど同じユニバース。映像のルックも似ているし、表現様式も似ている。ただ、本作のリマスターは解像度も高いし、色乗りもリッチだし、陰影も濃厚なのに、『日本沈没』はリマスターしても妙にボケボケで色合いも浅いし、パッとしないルックなのは、何故だろう?使用したキャメラやフィルムの違いなのか、レンズの違い?キャメラは村井博で同じなのに。昔から、それがとても気になる。ちなみに、本作は黒岩義民が喜八節の編集リズムを再現するけど、『日本沈没』『ゴジラ対メカゴジラ』は池田美千子の独特のバイオリズムなのだ。そこは、やっぱり違うところ。
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■あと、ロケ撮影とステージ撮影の繋がりは良いのだけど、同時録音が足を引っ張っていて、ステージのセットの岩などのカポックの空洞とか床とかで、いろんな軽い反射音を拾っていて、意外に気になる。岩肌なのに、スカスカとカポックの音がする。それならむしろ、アフレコで必要な音だけ乗っけたほうが効果的かもしれないな。まあ、今回発見したことだけど。

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