感想
■ゴジラ生誕70周年記念上映「ゴジラ・シアター」で『ゴジラ対メカゴジラ』が上映されていると聞いて、梅田まで出かけてきました。実際の話、交通費のほうが高かったですが、悔いはありません!
■なぜか東宝の保存するフィルム素材ではなくて(?)、国立映画アーカイブセンター所蔵のフィルムから4Kリマスターされている。これは先日見た『妖星ゴラス』も同じ。これは東宝傘下の東京現像所が解散したことから、そこで保存していたネガやプリントが全部同センターに移管されたためではないか。(ホントに?)TOHOアーカイブ㈱という会社がリストア作業などは引き継いでいるようだが、プリントの保管事態は国に託したということか?(ホントに??)
■もちろん4K修復版なので、見通しの良いきれいな上映で、真冬に撮影されたため樹木の緑に生気がなく、くすんでいる様子もそのまま再現されている。それでも、沖縄らしい陽光がイメージされるのは、特撮パートがマリンブルーな透明感あるホリゾントを用意したから。それに、全体に淡彩で撮影・現像されていて、特撮パートもそれに合わせたので、色味が浅い。フジフィルムかと思うくらいだ。(多分違う)
■先日『妖星ゴラス』を観てしまったせいで、どうしてもお話がスカスカに見えてしまうのは如何ともしがたい。とにかく予算規模が違いすぎるし、企画開発期間も比較にならない。尺はほとんど同じなのに、ドラマの濃度の違いが凄い。改めて『妖星ゴラス』は(多少奇跡的な)傑作だと思った。本作はとにかくアクション主体で構成されていて、本編も特撮も、並行してアクションが連続する。ドラマではなく、活劇を、という趣旨は明確だ。
■そのなかで、佐藤勝の音楽パートが弾み、音楽を聞いているだけで楽しい。映画館で観ると、音響設計というか、シネコンの音響再生方針がよくわかる。スクリーン上部から、かなり鮮烈な高音が降ってくる。重低音は出ていない。出ているはずだけど、腰高に聞こえる。石油コンビナートの大爆発なども、効果音は派手に鳴っているけど、地を這う重低音ではない。むしろ耳が痛くなるレベルの高音域が爆裂する。このバランスを家庭で再生しようとすれば、ソフトドームツィーターでは無理で、メタル系のツィーターのスピーカーが要るだろう。自宅で怪獣映画を観るときに、いかにして重低音を鳴らすかを意識していたけど、実は映画館で観ても、そんな重低音は鳴っていないのだった。これは昔の映画の録音方式による帯域の限界があるのだろう。同じことは、先日の『妖星ゴラス』でも感じたから、共通仕様だろう。
■ただ、D席で観たので、スクリーンを仰ぎ見る仰角になり、スピーカーも上部に位置しているので、上から聞こえるのは当たり前。この映画館は昨今のシネコンとは違って、スクリーンを上に見る位置関係になる。もともと由緒正しい「OS劇場(ニューOS劇場)」「OS名画座」だった劇場なので、スクリーンはデカくて見ごたえがあるけど、前の方で観ると、音は頭上を飛び交うことになる。(もっと大きいシネラマ方式だった純正の「OS劇場」は大昔に閉鎖されてます。『スペースバンパイア』封切りで観たなあ)
■特に「ミヤラビの祈り」はフルコーラスで歌われ、これは『妖星ゴラス』の「おいら宇宙のパイロット」と同じ趣向。もともと東宝では欧陽菲菲(!)がイメージされていたらしいけど、さすがに無理があるので、渡辺プロが探してきたのがベルベラ・リーンという台湾人歌手。当時はテレサ・テンも含め、台湾人歌手が日本で大勢デビューしていた時代で、一種のブームだったらしい。楽想は完全に歌謡曲で、その線で売りたいという意図がよくわかる。沖縄の民俗楽曲ではなくて、あくまで歌謡曲として作られた。これをシネコンの大音響で聞くのは至福だ。完全に、70年代にトリップできる。特に高音域が突き刺さるので、終盤のアナログ伴奏の疾走感が生々しい。家でこじんまりと聞くと歌が中心に聞こえるのだが、映画館では伴奏の存在感が強いので意外だった。家で再生するときには、もっとマイルドに聴きたくなるけど、そこを意識して刺激的なオーディオ機器を揃えればいいわけだ。
mykaiju.com
www.fuki-world.com


