キイハンター備忘録:混ぜるな危険!スパイとオカルト? #30「死体を抱く人形」(ネタバレあり)

■脚本:高久進佐藤肇、撮影:村上俊郎 監督:佐藤肇

■英国の研究所で殺人ウィルスを開発した日本人科学者が本国に戻るけど、スパイだらけで安心できないので、某中立国の大使館に逃げ込むと、そこも東側のスパイが入り込んでいて。。。というお話だけど、そこに無理やり怪奇趣味な趣向をくっつけていくもんだから、合理性とかバランスとかを欠いた奇っ怪なお話が誕生した。

■というか、この頃の佐藤肇は、明らかに意図的にそれをやっていて、お話の合理性よりも、いかに怪奇趣味の趣向を盛り込むかに腐心している。本作では、東側スパイ(川辺久造@文学座)が腹話術と催眠術を使う。しかも杖の先から、針が飛び出す。それ要るか?佐藤肇的には、そのほうが面白いでしょ?というサービス精神だろう。まあ、確かに面白いんだけど。

■腹話術の人形が不気味だよね、というのも大きな見せ場だけど、腹話術師を離れて、勝手にペラペラ喋ってるから、完全にオカルト案件ですね。
それに、大川栄子に催眠術をかける場面は、なぜかBGMがザ・テンプターズの「エメラルドの伝説」で、これはラストのコメディオチにも敷衍される。怪奇趣味とコメディを混ぜるのも、佐藤肇の得意技ですね。

■大塚国夫のマッドサイエンティストが、殺人ウィルスを東京に撒いて、本当の恐ろしさを教えてやると発狂するあたりは、英国映画の『戦慄の7日間』の引用だろう。その後、思いとどまるあたりの作劇は、全く心理的な説得力がないのだけど。
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■お話の辻褄とか、ロジックとかより、その場限りの怪奇趣味や享楽を優先するのは、イタリア映画のホラーに顕著な傾向で、佐藤肇は、意外にも、イタリア映画志向なのだ。

■それに、ラストの廃屋での決闘なんて、完全に高橋洋黒沢清Vシネマ黒沢清のイメージソースは、子供の頃に観たこんなドラマにあったのか。わかりやすいなあ、そのまんまだもの。

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