■60年代末のアングラな世相を取り入れた風俗劇としての色彩が濃い一作。LSDを使って人間を狂わせて、暗示に従わせる殺人犯罪を描いた異色作で、1968年8月の放送。冒頭でいきなり池田駿介が発狂する。時代色が濃厚だけど、山内柏の演出が妙に固くて、そこは残念。もちろん怪奇大作戦の「狂鬼人間」の前。
■斎藤チヤ子が怪しい美女として暗躍して、前半を不穏に彩る。なんといっても、そこが見どころ。いわゆる美人女優ではないけど、雰囲気美女として、複雑なニュアンスを纏っている。それゆに起用されたものだろうけど、「京都買います」の前の話。しかも、前半で死んでしまうのだ。勿体ない!
■後半は、一連の不審死を招いた黒幕をあぶり出す作戦で、こんどは白木マリがメインになる。いわゆるガスライティング的な恐怖を描いた心理劇として展開し、悪くない。このあたりも、作風としては佐藤肇が適任だと思うがな。撮影は下村和夫だけど、単純なアップの連続で、監督によって全くスタイルが異なる。
■それにしても無理やりなギミックで非常に技巧的なスリラーを描いた佐藤純弥の嗜好には共感を覚える。この時期、佐藤純弥は映画でもかなりタガが外れていて、何かよほど腹に据えかねるものがあったのだろう。息子ちゃん(佐藤東弥)はまだ小学生で、優しいお父ちゃんだったと思うけど、この時期の作品は相当に歪なのだ。組合関係のストレスで気持ちが荒んでいたのかな?
■アングラ劇団のメンバーで斎藤晴彦(髭面!でセリフあり)も出ていて、実際のアングラ演劇人がそのまま起用されたようだ。劇中のアングラ劇は「晋作とゲバラ」という。実際、あんなグズグズな感じでやってたのかなあ。

