怪奇映画の貴公子ヴィンセント・プライス誕生!『呪われた城』

基本情報

Dragonwyck ★★★
1946 スタンダードサイズ 103分 @アマプラ

感想

■1844年、デンマークの貴族の末裔(ヴィンセント・プライス)が所有するNYのドゴンウィック荘園に招かれた遠縁の農家の娘(ジーン・ティアニー)は、徐々に主人に惹かれるが、愚鈍な妻が急死すると疑惑を感じ始める。。。

■ジョセフ・マンキーウィッツがアニヤ・セットンのゴシック小説を脚本化し、エルンスト・ルビッチが監督する予定が、急病でマンキーウィッツが初監督することになったらしい。実際、道具立てはゴシックな感じだけど、マンキーウィッツはただのホラーにする気はなくて、ロマンスと階級闘争の部分が強調される。でも、それらの要素のバランスが絶妙で、まあ見事な構築だし、役者の演技も堪能させる。ジーン・ティアニーにはちっとも魅力を感じないし、『生きてる死骸』のアイダ・ルピノのほうがよほど演技的に巧いと思うけど、なんといってもヴィンセント・プライスは見事なハマりっぷり。これで受けたせいで、すっかり怪奇映画の顔になってしまった。もう、黙って立っているだけで、そのシルエットが高貴な怪奇味を醸し出すアイコン。

アメリカ独立後も生き続けていたオランダ出身の封建領主が、最終的には法律改正で土地を農奴に開放して追い詰められ、さらに妻殺害のからくりを暴かれて、破滅するわけだけど、怪奇映画的な趣向は意外に少なくて、時計塔に籠もっているのも単に薬物中毒だし、本人が言及するように、怪異な双子の弟を隠しているわけではないのだ。(そうだといいのに!)でも、聖書など紙に書かれた処世訓に過ぎない(よくぞ言ったり!)ので、そんなものには従わないと断言するところに痺れる。悪魔崇拝者ではないけど、神を否定しているので破滅するしかないのだ。

■その意味で怪奇映画的には食い足りないのだけど、ゴシック・ロマンスとしてはとにかくよく出来てるので、誰も嫌な気はしない。でも、怪奇ムードとかサスペンスは『生きてる死骸』のほうが、実は良くできているのだ。特撮的にも、作画合成の見事さでは『生きてる死骸』とか『呪いの家』のほうが、断然に凄い。


参考

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ヴィンセント・プライスは、その細身の長身と声質、独特の口跡で、不世出の怪奇俳優となった。誰も真似できない。
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