特撮関係者の公的な受賞と褒章関係について邪推してみた!樋口真嗣や佛田洋はいつ?じゃ山崎貴はどうなる?

たまたま気になったので、特撮関係者に関して、国が定める賞や、褒章の受勲関係について調べてみました。

円谷英二:勲四等瑞宝章

特撮の神様こと円谷英二はもちろん褒章を受勲しています。死後に勲四等瑞宝章が授与されました。そういえば、芸術選奨は授与されていないんですね。

関係者多数:文化庁映画賞映画功労表彰

これは特撮関係の受賞者が多くて、ざっと拾ってみると以下のとおりです。

島倉二千六(平成17年度 映画背景)
矢島信男(平成18年度 特撮監督)
築地米三郎(平成22年度 特撮)
飯塚定雄:(平成27年度 光学合成)
中野稔(平成28年度 特撮・映像視覚効果)
江川悦子(平成29年度 特殊メイク・特殊造形)
上松盛明(平成29年度 特殊造形美術・操演技師)
佐川和夫(令和2年度 特撮監督)
村瀬継蔵(令和3年度 特殊美術造形)

有川貞昌中野昭慶川北紘一、高野宏一、金田啓治、井上泰幸、成田亨といった特撮界のビッグネームの方々の名前は見当たりませんが、賞が設定されたタイミングによるものでしょうか。築地米三郎とか上松盛明とか、なかなか渋いお名前が上がっていますね。江川悦子なんて、芸術選奨も受賞してますから、凄いね。

庵野秀明平成28年度「芸術選奨映画部門文部科学大臣賞」

庵野秀明が『シン・ゴジラ』で「芸術選奨文部科学大臣賞」を受賞したのは、少し新鮮でした。ああ、オタク芸術を国が公式に芸術と認めたんだな、という感慨ですね。

庵野秀明:「令和4年春の紫綬褒章

庵野秀明が「令和4年春の紫綬褒章」を受賞しています。受賞時年齢は62歳(現63歳)です。

紫綬褒章とは「科学技術分野における発明・発見や、学術及びスポーツ・芸術文化分野における優れた業績を挙げた方」に授与される勲章です。ちなみに、賞金や年金はありません。

評価の対象はエヴァシリーズがメインでしょうが、特撮ジャンルのシンシリーズも加わって、業績としては誰が見ても納得でしょう。オタクの帝王がついに国から勲章を授与される日が来たことは感慨深いものがあります。オタクも極めれば、国が認めてくれる、と単純に喜んで良いのかな?

尾上克郎:令和4年度「芸術選奨映画部門文部科学大臣賞」

尾上克郎が映画『シン・ウルトラマン』ほかの優れた業績について、令和4年度芸術選奨「映画部門文部科学大臣賞」を受賞しています。

受賞理由は以下のとおりです。

学生時代の8ミリ自主映画作品出演をきっかけに、美術部はじめ様々な映画制作現場を体験してきた尾上克郎氏のキャリアは40年を超える。矢島信男氏創設の「特撮研究所」に所属以来、先人たちの残した特撮技術と、現代の最先端映像合成技術を駆使し、映画の可能性を拓(ひら)き、豊かに実らせるその技は、「シン・ウルトラマン」でも大いに発揮された。全スタッフが知恵と力をあわせて創り上げる「映画」への敬意と「技術」への挑戦、後進への継承の熱意に打たれる。

受賞時年齢は62歳(現63歳)です。

過去に映画関連では、宮川一夫成瀬巳喜男溝口健二、碧川道夫、三浦光雄とかいった伝説的なビッグネームが並んでいますが、近年では江川悦子、長田達也、芦澤明子といった映画技術の裏方たちが意識的に取り上げられている印象があります。

キャメラマンはまだしも、特殊メイクや照明技師を顕彰しているのは相当に意欲的な動きなので、選考委員に誰が入っているのかが気になるところです。

特撮監督とはいえ、尾上克郎の場合は派手に目立つポジションではなく、特撮監督の名前で客が呼べるといったカリスマ的な人ではないので、映画界の裏方顕彰の流れに沿ったものではないかという気がします。でも特撮監督の受賞は快挙とも言えます。

と思ったら、選考委員に富山省吾(現日本映画大学理事長。まだまだ現役だったのか!)が入ってますよ!そして、尾上克郎日本映画大学の特任教授でした。ああ、なるほど。

むしろ、樋口真嗣(57歳)が受賞していないのは不思議な気がするのですが。本来は『シン・ゴジラ』のタイミングがベストだったのでしょうが、庵野秀明に譲った形になって、割を食いましたね。

今後の予想

このところのオタク分野に対して積極的に賞を出していこうという(クールジャパン的発想?による)傾向と、その中心的な人脈からすると、樋口真嗣の受賞は確定でしょう。褒章はまだ早いとしても、樋口真嗣が映画部門で芸術選奨を受けていないのは逆に違和感があります。

ただ、年齢的に尾上克郎のほうが年長で、映画業界の経歴も長いので、まずは尾上克郎になったのでしょう。こうした公的な名誉の受賞は順繰りが決まりなので。(でも、芸術選奨は年齢的な縛りは緩そうに感じるのだけど。。。)

ただし、ここで気になるのが佛田洋(61歳)はどうなるのかということ。年齢的には尾上克郎が先だけど、年齢順なら樋口真嗣よりも佛田洋が先のはず。ただ、近年あまり映画は手掛けず、東映のテレビ番組メインなので、タイミングが難しいかもしれない。大作映画を担当するタイミングで芸術選奨はアリじゃないかと思うけど、まあ現役の特撮監督を30年以上ずっと続けている稀有の人なので、キャリア的には十分すぎるほど。富山省吾が選考委員のうちに、機会が巡ってくると良いね!でも、矢島信男と同じように文化庁映画賞映画功労表彰の方がしっくり来る気もします。

そういえば山崎貴(58歳)を忘れていたけど、山崎貴のほうが樋口真嗣よりコンスタントに映画を撮っているので、年齢的にも先に芸術選奨を取りそうですね。なにしろゴジラの最新作が控えているので、そのタイミングでの受賞はありそう。となると、また樋口真嗣が割りを食うことに??

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