感想
■トヨタ自動車博物館を舞台とした『ナイト・ミュージアム』みたいなお話で、名車トヨタ2000GTがファンタジー空間で走り回るという、マニアックなドラマ。演出はNHKの名物男って感じの大橋守。特撮好きとしても有名ですね。さいきん地方局をぐるぐる転勤しているようだが、行く先々で地方発ドラマを企画して、製作している剛腕のディレクター。こないだまで広島局にいたと思ったら今度は名古屋局に異動になったらしい。しかも、どの作品も結構レベルが高い良心的な作品なので、もっと注目されてもいいはず。そういえば『生物彗星WOO』もあったなあ。懐かしい。
■本作では実際の2000GTのオーナーであるという唐沢寿明が当該車両の化身として登場する。なんだか、唐沢君は最近趣味的でマニアックな作品のチョイスが多い気がするなあ。ほんとはこういうのが好きなんだけど、いままでなかなか事務所がやらしてくれなかったんだよね。という声が聞こえてきそうな昨今だ。
■ファンタジーでもあり、レース映画でもあるが、団時朗ときくち英一が登場したり、町工場が坂田モータースだったりというのは特撮マニアらしい遊びだし、エフェクトアニメの合成などは日本エフェクトセンターの泉谷修が担当しているから、ちゃんと特撮ドラマなのである。ぶれない人だね、大橋守。
■それに、往年の名車と最新鋭機との対比は、特撮とVFXの対比の暗喩であり、特撮マニアでCGなんてくそくらえ、ミニチュア特撮こそ命!と叫ぶ狂信的なヒロインが、円谷英二が生きていたら喜んでCGを使っていたに違いないぜ、と当時を知るレジェンド(例えば佐川和夫とか?)に諭されて最新鋭のVFXセクションで生きることを決意するというお話が隠されている。そう考えると、非常に凝った構成の戦略的なドラマであることが分かる。
参考