バトル・イン・シアトル ★★★

Battle in Seattle
2007 スコープサイズ 111分
DVD

バトル・イン・シアトル [DVD]
ビデオ屋ではアクション映画の棚においてあるのだが、内容は政治的な実録映画なので、ビックリ。1999年にシアトルで起こった反グローバリズムの立場からのWTOへの抗議活動が過激化してゆく様子と機動隊の暴力を史実に基づいて劇化した映画で、とにかくWTOひどい、WTOつぶせという明快なメッセージを観客に届けることが最大の目的という完全なプロパガンダ映画。

■ダブリン出身の俳優であるスチュアート・タウンゼントが脚本、監督で、明らかに低予算映画だが、撮影はケン・ローチの諸作の良い仕事からポール・グリーングラスの極端なドキュメンタリータッチまでこなすザ・職人のバリー・アクロイド。イギリスの社会派映画の系統に連なる映画なのね。

■なぜWTOがそんなにひどいのかという点がいまひとつ分からないのが難点だが、デモの先鋭化、一方の機動隊も暴力無しの警備から暴力によるゴボウ抜きへの戦術転換、両者のハザマで揺れるウディ・ハレルソンという緊張感溢れる映画で、最後は検挙された活動家が全員釈放というハッピーエンドという王道の娯楽映画でもある。このあたりの娯楽性にも配慮した作劇は確かにイギリスの社会派映画の王道だよな。

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