英国王のスピーチ ★★★★

THE KING'S SPEECH
2011 ヴィスタサイズ 118分
TOHOシネマズ二条(SC1)

■吃音症のヨーク公が、父の死、兄の退位によりジョージ6世に即位し、吃音を克服して感動的な開戦のスピーチを成し遂げるまでを描いた傑作。目の付け所が抜群だし、作劇はオーソドックスで、イギリス映画らしい地味さと、娯楽性が十二分に発揮されている。

■主演のコリン・ファースも非常に上手いし、助演のジェフリー・ラッシュも一世一代の名演といえるだろう。パイレーツ・オブ・カリビアンなんて出ている場合じゃないだろう、ほんとに。撮影のダニー・コーエンもユニークな絵作りをしており、特にロケ撮影で背景を霧の中に霞ませた場面は、おそらくデジタルエフェクトがかかっているだろうが、劇的にも名場面で、見応え十分。

■ラストのスピーチでは、ベートーヴェン交響曲7番第二楽章が使われ、絶大な効果を上げている。ずるいくらいにうまい。

■日本でも天皇を素材にして、大娯楽映画が作れるはずだと思うのだが。「明治天皇と日露大戦争」じゃなく、人間ドラマとしてね。まあ、人間じゃなかったから厄介なのだろうが。

■TOHOシネマズ二条の音響設備は、エレクトロボイス社のスピーカーシステムを使っており、今までうるさいだけでちっともいいと思わなかったが、こうした小規模の映画で、台詞と音楽中心の音響設計だと、非常に馴染みがいい。発声の生々しさと湿り気がなかなか心地よいのだ。ジェフリー・ラッシュ、いい声だよ。

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