マスターズ・オブ・ホラー2「男が女を殺すとき」★★★☆

13 thirteen 「男が女を殺すとき」 [DVD]
ジョー・ダンテの、これまた問題作。女に性欲を感じると、性欲が暴力に転化して殺したくなってしまうという未知の感染症(?)の蔓延で、男は皆殺人鬼と化し、人類は滅亡の危機に瀕するという、大胆な着想を「ゾンビの帰郷」のサム・ハムが脚本化したものだが、終幕部分を除いて、かなりの秀作。

■特に、発端から、ある一家を中心に、衝撃的な異常事態の蔓延を描いだしてゆくストーリーテリングは、かなり上出来で、残酷な殺戮シーンも含めて、正直、ジョー・ダンテの怜悧な演出に唸った。さすが、「ハウリング」のジョー・ダンテだ。

■終盤で、この異常事態の策謀者が登場してしまうのが安易で、このシリーズには珍しくCGキャラクターなのだが、これは蛇足だろう。冒頭のナレーションで、何者かの意志を仄めかしているのだから、隠しておいた方が賢明だ。

■「ゾンビの帰郷」も含めて、ジョー・ダンテがなぜこれほど政治的な寓意を狙ったホラーを撮るのか、非常に興味深いものがある。それにつけても、あの傑作「ハウリング」はブルーレイにならないのだろうか。ジョー・ダンテの再評価を希望する。

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