X-MEN ファースト・ジェネレーション ★★★☆

X-MEN: FIRST CLASS
2011 スコープサイズ 131分
T-JOY京都(SC3)

X-MEN:ファースト・ジェネレーション 2枚組DVD&ブルーレイ&デジタルコピー(DVDケース)〔初回生産限定〕
■プロフェッサーXとマグニートーの若き日、邂逅と友情と共闘と離反のドラマを、意外にもVFXスペクタクルに頼らず、しっかりとドラマ的に描き出した秀作。特に、これまでの映画シリーズを観ていると、非常に感慨深いものがある。物語の背景をキューバ危機に設定したのも秀逸。
■プロフェッサーXを演じるジェームズ・マカヴォイはかなりいい味を出しており、これまで演じてきたパトリック・スチュワートよりも人間味が感じられるし、若者らしい軽薄さもほほえましい。一方のマグニートーマイケル・ファスベンダーが演じるが、こちらは重鎮イアン・マッケランとの比較になるから可哀そうだよね。
■本作のドラマ的キモはマグニートーなので、彼がなぜ悪のミュータント組織を立ち上げたかという、彼の心の旅路をどこまで説得力をもって描くことができるかが映画としての評価の決め手になる。それは、かろうじて成功している、と思う。冒頭の強制収容所でのケビン・ベーコンとの対峙が非常によく演出されていることも成功の要因だ。マシュー・ヴォーンという監督、「スターダスト」しか知らないが、案外確かな演出力を示す。
■欲を言えば、クライマックスのキューバの浜辺の舞台設定がこじんまりとしすぎているとか、ミュータントに対する差別と迫害があまり切実に描かれないという点など、残念な個所も無いではないが、007風の演出も楽しいし、あの人の特別出演もあり、サービス満点の良心作だ。アメコミものとしては上出来の部類。

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