震度０ ★★★

震度0 [DVD]

震度０
2007 ヴィスタサイズ 118分
DVD
原作■横山秀夫　脚本■渡邉睦月
撮影監督■栢野直樹　照明■山川英明
音楽■窪田ミナ　美術■山崎輝
監督■水谷俊之

■阪神淡路大震災が発生、一方、某県警では警部課長が失踪。県警幹部たちは秘密裏に捜索を開始するが、保身に走る幹部たちの醜い情報戦と化してゆく・・・
■横山秀夫お得意の警察小説のテレビドラマ化。大震災に各県警からも応援派遣をしている一方で、官僚主義に侵された県警幹部連中は罰当たりな内部闘争を繰り返しているという、苦々しいドラマで、警察組織を美化することも、主人公を美化することも無く、描き切る点は評価したい。
■しかし、警察幹部たちの男くさいぶつかり合いの部分が、どうも気抜けしており、残念なのだ。本部長室を大きなセットにしてしまったのが原因の一つだと思うが、長回しもどうかと思うぞ。警務課長を演じる西村雅彦が意外な好演で、台詞も少ないのに、大きな説得力を残す。対して、権力志向の塊である主人公を演じる上川隆也はミスキャストという気がする。仲代達矢とか田宮二郎といったイメージの役どころなので、似合わないのだ。
■なにしろ長編小説を２時間に詰め込んでいるので、情報量が多すぎて、捌くだけで手一杯という部分もあるが、テレビドラマとしては上出来の部類だ。でも、榎戸耕史の演出で見たかった気はするよ。
■矢島健一の演じる準キャリアの幹部が、大震災に派遣する警官たちを送り出す場面が、このドラマのキモで、いったい自分たち幹部に彼らを送り出す資格があるのか、と人間的に悩むことになる。原作小説ではどう描かれているのだろうか。

参考

震度0 [DVD]

震度0 (朝日文庫 よ 15-1)