NEVER LET ME GO
2011 スコープサイズ 105分
ＴＯＨＯシネマズ二条（ＰＳ）
■端的に言って、難病メロドラマというジャンル映画の常道をすべて踏まえて、全世界の号泣を目指した嫌味な映画なのだが、実際、衝撃的に泣かされる。しかし、安易に号泣させてしまうところがこの映画の数少ない欠点でもある。
■もう、観ていて身を切られるように痛くて辛い映画で、エクストリームなグロテスク描写は一切ないのだが、この３人の若者をこれ以上過酷な運命に追い込むのは、ほんとに勘弁してやってくれよ、頼むから許してやって、と祈りながら観ることになる。メロドラマとしての構造はあまりに類型的なのだが、カズオ・イシグロの導入したＳＦ的な設定が古典的なメロドラマに現代的な切実さをもたらしている。
■キャリー・マリガン、アンドリュー・ガーフィールド、キーラ・ナイトレイの３人組が誠に素晴らしい演技を見せる。キーラ・ナイトレイなんて、最後にクレジットを観るまで気が付きませんでしたよ。そして、いかにもイギリス風なおっとりとした風貌のキャリー・マリガンの名演。
■映画としては、終盤のナレーションで直截に語り過ぎたため格を落としているが、たとえばイーストウッドが映画化していたら、もっと傑作だったかも。
