郡上一揆 ★★☆

郡上一揆
2000 ヴィスタサイズ 110分
DVD
原作■こばやしひろし 脚本■加藤伸代、神山征二郎
撮影■南文憲 照明■小林芳雄
美術■春木章 音楽監督和田薫
監督■神山征二郎

■18世紀、美濃国郡上藩で年貢の検見取りに反対する農民たちが、藩に強訴、藩に裏切られた農民たちはさらに江戸の老中に駕籠訴を決行し、さらに箱訴を行ったことで、幕府の裁定で藩主は国替えとなり、一揆の首謀者たちは死刑や獄門となった事件をJAの出資で神山プロが制作を請け負った大作。
手弁当のエキストラを大量動員したモブシーンが売りで、意外にも映像としては立派な仕上がりなのだが、実はドラマとしては弱く、一揆の顛末の概要は時系列で理解できるが、主役の緒形直人たちにドラマらしいドラマが仕組まれていないのだ。どうも神山征二郎は、主役を中心としたオーソドックスなドラマを組むことよりも、群像劇としての、主役が突出することの無い民主的(?)なドラマ構築を目指したのではないかと思われる。これが東映であれば、主役は主役として立てながらも、大量の登場人物に見せ場を用意しながら効率的に捌いていく技があるのだが、どうも加藤伸代という人は腰が足りないようだ。同じ神山征二郎の「ひめゆりの塔」もどうも平板な映画だった。本作など、東映で映画化されていれば、もっとコクのあるドラマになったはずだ。以前なら山本薩夫今井正が撮ったような映画なのだが、随分薄味である。
緒形直人のキャラクターも、普通ならいやいや運動に参加しながら、徐々に闘士として目覚めてゆくという作劇になるところだが、そのコントラストも弱く、ドラマとしての芯になっていない。むしろ古田新太が適役で、実にリアルな農民像であった。
■映画じたいよりも驚いたのが、神山監督自身によるメイキング解説で、現地に残る民家や日光江戸村ワープステーション江戸などのロケを中心に、使用されていない体育館をステージとして、セット撮影を行ったという模様が興味深い。もっと撮影所のステージを使用しているのかと思っていたのだが、撮影所が無くてもセット撮影はできるのかと感心した。老中酒井忠寄の一行が駆け足で登城する演出は、日本映画では初めてだろうと監督は自慢する。何か一大事があったときだけ駆け足登城していると、一大事の出来を気取られてしまうので、常に駆け足で登城していたのだそうな。