■前半ゆるゆると始まって、段取りを踏みながら1時間たったところで、玉砕命令を受けながら生き残った部隊がセントジョージ岬で何を経験したかを書き残して欲しい一心で、英霊たちが水木しげるの周りに、ドッペルゲンガーの気配を仕掛けていたことが明かされたあたりからクライマックスに入り、軍隊の非情さに慄然とさせられる。ラバウルからやって来た上官に追い詰められて詰め腹を切らされる若者たちの無念が胸に迫る力作である。
■2回歌われる「くるわ唄」が絶妙な効果を発揮し、このあたりの前線兵士たちの血を吐くような想いは、笠原和夫の戦記映画に匹敵する切実さで胸を打つ。さすが、西岡琢也ですよ。