天城越え ★★★

天城越え
1978 スタンダードサイズ ?分
NHK BS2録画
脚本■大野靖子 音楽■林光 演出■和田勉
出演■大谷直子佐藤慶鶴見辰吾中村翫右衛門宇野重吉松本清張玉川良一、津田恵一

■家業の鍛冶屋を嫌って家出した少年、さすらい者の土工、足抜けした娼婦が天城峠で出逢ったことから運命的な殺人事件が発生する・・・
■むしろ三村晴彦の映画版の方が有名かもしれないが、ドラマとしてはこっちが上手だ。その肝は、流れ者の土工を佐藤慶に演じさせたところにある。子供時代に父親に捨てられ、背中に大きな傷を負いながら生き延びて、人と関わることを避けながら流れ歩き、里の者には差別されながら、何かの終着を求めて、ある意味で遍路のように歩く佐藤慶の異形は、それだけで感動的だ。
鶴見辰吾演じる少年の成長した姿を宇野重吉、殺人事件の捜査に当った刑事の過去と現在を津田恵一と中村翫右衛門が演じる。津田恵一は前進座でコミカルな脇役を演じている姿を知っているが、ここでは明瞭な口跡で、実力派として的確な演技を見せている。中村翫右衛門はどこか野中広務を思わせる風防で、圧倒的な存在感。対する宇野重吉の演技は・・・正直どうかと思うのだが、映画版よりも豪華な配役ではある。
■70年代のビデオドラマがこれほど綺麗な画質で残されていたことにも驚嘆した。伊達に高い受信料を取っている訳ではないということか。

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