真木栗ノ穴
2008 ヴィスタサイズ 110分
DVD
原作■山本亜紀子 脚本■小沼雄一、深川栄洋
撮影監督■高間賢治 照明■上保正道
美術■鈴木伸二郎 音楽■平井真美子、采原史明
監督■深川栄洋
■ボロアパートに住む小説家が隣の部屋に通じる壁の穴を発見したことから、幻想の世界に引き寄せられてゆく怪奇映画、というか幻想映画。山本亜紀子の原作小説も読んだのだが、正直小説としてはあまり大した出来ではない。映画化はかなり改変するのではないかと予想していたが、案外原作どおりで、驚いた。それが確実に映画の弱点になっている。
■実際、大したアイディアでも映画的工夫がふんだんに凝らしてあるわけでもなく、全てが非常に平凡なのだが、辛うじて観ていられるのは主演の小説家を西島秀俊が軽妙に演じているから。若手（でもないか）ながら非情な色悪などを演じると独特の凄みを発揮する西島秀俊だが、ここでは素直にちょっと間の抜けた感じで浮世離れした人間像を飄々と演じ、嫌味が無い。対する隣室の女を粟田麗が演じるのだが、これはミスキャストではないか。もう少し大人の女の官能性を感じさせる女優でないと困る。というか、企画自体が成立しないと思うのだが。重要な脇役にキムラ緑子が充てられているが、これも正直微妙なところだなあ。
■非常に低予算の映画で、ビデオ撮影に見えるのだが、確信が無い。どうも高間賢治の撮影にも映画らしいこだわりが無く、まったく感心しない。西島君に免じて★★★にしておくが、本当は水準以下。
■製作はネオ、ライツマネジメント、制作はベンテンエンタテインメント、べんてんムービー。って、聞いたことも無い会社ですよ。
