私は貝になりたい ★★

私は貝になりたい スタンダード・エディション [DVD]
私は貝になりたい
2008 スコープサイズ 139分
ユナイテッドシネマ大津(SC3)
原作■加藤哲太郎 脚本■橋本忍
撮影■松島孝助 照明■木村太朗
美術■清水剛 音楽■久石譲
特撮監督■尾上克郎 VFXスーパーバイザー■田中貴志 VFXプロデューサー■大屋哲男
監督■福澤克雄

■オリジナルのテレビ版も当然未見だし、橋本忍自身が監督した映画版すら未見なので、初の”私は貝”体験なのだが、実に見事にバカ映画なので、驚嘆した。橋本忍の脚色が冗長なのは大目に見るとして、ここぞというところに悉く場違いなメロディを大音響で奏でる久石譲の音楽、というか監督の音楽演出は、ギャグというかパロディにしか思えない。久石譲の終わりの始まりかもしれない。福澤克雄という監督は、よほどサービス精神が旺盛らしいが、誰のためのサービスかといえば、観客ではなく、製作者向けのものらしい。素晴らしい愛社精神といえよう。B29の空襲に対する防空戦略のシーンなどまるで怪獣映画の自衛隊のようだし、この監督いったい何を考えてるのか?
■物語自体は(多分)オリジナルどおりのBC級戦犯の悲惨な救いの無い運命をなぞっていくのだが、中居正広仲間由紀恵という演技的には”問題外”の配役なので、過酷な運命がちっとも心打たない。中居正広だけがどんどんやつれてゆくのに、周囲の面々は福福しい役者を揃えたのもアンバランスで、中居正広の妄想劇に見えてしまう。
尾上克郎の特撮班はかなりのボリュームの特撮シーンを制作しており、走るバスの窓の外に広がる焼け跡の風景などなかなかの出来栄え。巣鴨プリズンの情景などもミニチュアを多用して、単なるマット画では表現できない実在感を生んでいる。総じて東京の焼け跡の情景を俯瞰するシーンは密度が高く、秀逸で、見ごたえがある。刑務所内部の廊下の場面なども、デジタルマット合成とCGを組み合わせて奥行きを出しているだろう。実写場面の映像設計としては全体に色見が鮮やかで、いかにもDIを多用した人工的な印象だが、リッチで厚みのあるシネスコ映像が楽しめる。美術セットもリアリティというよりも作りこみの面白さを狙っているようだ。特に石坂浩二が指揮する作戦室など、遊びすぎだろう。
■製作はTBS、東宝ほか、制作はシネバザール。

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